体験談1
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「普通の生活の有り難さ」

 (大乗信報H17年12月10日”ボランティアかわら版”より)

  去る七月二十八日、社会福祉法人「名古屋手をつなぐ育成会」の要請で“幼児、学齢児サマー事業”のボランティアへ大乗教ボランティア会より六名参加させていただきました。二歳九ヶ月から十五歳の知的障害の子供達十七名にボランティア十七名が一対一で付き添い、熱田神宮の森の散策及び千円持参で昼食の弁当の買い物体験をして昼までに福祉会館の三階に戻り、昼食を皆と一緒に食べ、午後一時よりエアロビクスで遊ぶという内容です。
 午前十時にオリエンテーションがあり、保護者より個別聞き取りがそれぞれのボランティアにありました。私のお相手は九歳の自閉症の元気な男の子でした。
 母親の話では、大便の時はお尻をつきだし、小便の時はズボンをさげる姿で表現をするとのことです。大の時の後始末を自分でしますかと尋ねると、できないのでウエットティッシュで拭いてやって下さいとのこと。自分の子供や孫でもやったことがないので大変です。トイレは洋式でお願いしますとのこと。熱田神宮では西門の近くの休憩所に一ヶ所あるのみ。
 この子は水遊びが大好きで、プールに行けば何時間でもプールに入っており、家に帰れば風呂場で遊ぶ子供ですとの説明でした。母親と別れるときに大きな声を出しましたが、十時半に熱田の森散策に出発しました。
 神宮の東門より入り、鯉と亀がたくさんいる南神池に行き、役員の方より餌をもらい、池の鯉や亀達に餌を投げ入れていました。その後、二つ目の鳥居をくぐり、手水舎で手を洗いながら柄杓(ひしゃく)を二つ持ってしばらく水遊びをしていました。手を拭いた後、本宮に行き、この子が普通の子供として生活できますことを切に祈念した後、帰路につきました。
 神宮近くのコンビニに入り昼食の購入です。母親から聞いていた通り、「ざるそば」を自分で選び持ってきましたが金を払うことはできませんでした。福祉会館三階ホールに無事到着。昼食は皆と一緒です。彼はきれいに全部食べました。
 午後一時からはエアロビクスの時間ですが、気の向くまま、会場内を飛び回っており、目で追って観ていました。三十分程たったころ遊びつかれたのか舞台の上で胡坐(あぐら)をかいて腰を落ち着けたので隣に私も同じようにしました。妙法を心の中で唱えながら背中を摩(さす)って拝んでおりますと、何を思ったのか、私の膝の上にぴょこんと座りこんできました。自閉症の彼が心を開いて私の膝の上に座ってくれたなと感じました。出発してから一言も喋らなかった彼が、私を何か認めてくれたような嬉しい気持ちでした。
 二時になり母親達が迎えに来たので、四時間程の出来事をそれぞれの母親に話しました。私の預かった彼は、用便は小のみで、会館に帰ってから自分ひとりでする姿を見ました。心配していたこともなく終わったことを母親に説明して、別れの時には頭をぴょこんとさげて母親と手をつないで帰る彼。なんとか自分の意思を言葉で喋り普通の人間として生きて欲しいと祈るばかりです。
 十七名がそれぞれ違った障害を持って生きておられる姿を観て、普通に生かされていることの有難さを熟(つくづく)味わうことができました。
 過去世の行いの正報として身と心を受け、依報としてそれぞれの境界に生を受けることを思えば、少しでも善の徳に憧れて妙法行者として正行六度、六波羅蜜の実行をしなくてはと思う次第です。

合 掌